終末期ショートステイ(緩和療法ショートステイ)
ショートステイ(短期入所療養介護)とは介護保険を利用したサービスの 1 つで、要介護 1 以上の方が対象になります。利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、療養生活の質の向上及び家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
緩和療法とは?
緩和療法とは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為です。
つまり残された時間の生活を充実して、最後まで自分らしく生き抜くためにはどうすればいいかを考えたり、一度だけの人生をどう終わるのかを、緩和ケアを受ける本人はもとより、家族、スタッフとともに作っていく療法になります。
生活を考えた場合、最も良いのは自宅です。病院でせん妄を起こし暴れる患者の目的は、自宅に帰りたいという願い、そのために病院から追い出されるしかないと考えて、あえて迷惑行為を行っている人が多いことに、愕然となります。
施設や病院で頻発することが、なぜ在宅では少ないのか、それは家がどのような汚い場所でも最も落ち着く空間であるからです。しかし、家族に目を向けると、24 時間緊張を強いられることは、月日の経過とともに苦痛になってきます。
どうして在宅、病院・施設というゼロサムの思考しかできないのか疑問に思ってきました。制度的に、私たちはどうすれば在宅と施設のいいとこどりが出来るのかを真剣に考えました。本人も家族も含め、居たい時にどちらも利用できる方法がショートステイ(短期入所療養介護)であることに気づきました。
なぜショートステイ?
ショートステイの特徴は、従来の施設・病院と違い、在宅と施設を自由に行ったり来たり出来ることです。出前を取ったり、家族と一緒にお弁当を食べたり、外食に出掛けたり、有志でお金を出しあって、観桜や紅葉狩りなどの自然に親しんだり、カラオケに行って歌ったりして、可能な限り自分のライフスタイルにあった生活を、より積極的にエンジョイする仕組みを作れますので、ターミナルケア(終末期ケア)で、QOLを高めるには、最も良い仕組みだと思います。
カヘキシア(悪液質)とは?
カヘキシアとは、古代エジプト時代から知られていた概念で、「致死性進行性栄養障害」とされています。「体重減少、食べたくても食べられない食欲の低下、少量で満腹になるなど」を主訴としています。
65 歳以上の 80%近くがカヘキシアになり、人生を終わるということが分かってきました。癌などの消耗性疾患が原因の場合は、比較的急速に栄養障害は進行しますが、認知症、慢性疾患、老衰などの原因の場合は、比較的緩やかに進行します。しかしこのカヘキシアの状態になれば、ある程度の予後が想定できます。
私たちは、足元を見て日々の生活を充実させることこそが、現時点において最もカヘキシアの進行を、遅らせることが出来る(つまり長生きできる)と考えています。また、カヘキシアの進行を、無理なく進行させ、緩やかに進行させる、適切な栄養管理こそが、緩和療法そのものだと考えています。この考えで優れた点は、予後が状態によってある程度正確に診断できます。
弘法大師空海や一休禅師、蓮如上人、豊臣秀吉、徳川家康などの歴史上の偉人の、死を迎えるときのエピソードを考えると、昔の人はカヘキシアを理解していたと考えられます。また今でも高齢者が「食べていたら死なない」と言っていることは、人が苦しまずに死を迎えるメカニズムがあると、確信するには十分なエピソードです。
つまり、どんな時にショートステイって利用できるの?
- 〇 老衰の診断を受け、穏やかな最期を迎えたいが、自宅での生活が不安な時
- 〇 自宅での生活が不安で老健・特養などに申し込みをし、順番が来るまでの間利用したい時
- 〇 入院中に筋力が弱くなり、在宅復帰できるまでの間リハビリをしたい時
- 〇 冠婚葬祭、旅行などで一時的に介護者が居ない時
- 〇 介護者の介護疲れで、一時的な休養をしたい時
- 〇 在宅酸素、痰の吸引、褥瘡、胃ろう、通院透析など医療的ケアが多く、他の施設に入所できない時

利用料金について
〇 基本料(1日につき)
サービス内容 | 単位数 | 備考 |
---|---|---|
診療所短期IIii1 | 702 単位 | 要介護 1 |
診療所短期IIii2 | 745 単位 | 要介護 2 |
診療所短期IIii3 | 789 単位 | 要介護 3 |
診療所短期IIii4 | 832 単位 | 要介護 4 |
診療所短期IIii5 | 876 単位 | 要介護 5 |
〇 加算
加算 | 単位数 | 備考 |
---|---|---|
診療所短期送迎加算 | 184 単位 | 入退所時に送迎を利用した時 |
理学療法II(特定診療費) | 73 単位 | リハビリをした時 |
◇上記以外にも、加算の種類がありますので、詳しくは電話にてお問い合わせください。
〇食事代・居室代(1日につき)
段階区分 | 第 1 段階 | 第 2 段階 | 第 3 段階 | 第 4 段階 |
---|---|---|---|---|
食事代(3 食) | 300 円 | 390 円 | 650 円 | 1,650 円 |
居室代 | 0円 | 370 円 | 370 円 | 720 円 |
※食事代、居室代は上記表の第 4 段階の金額になりますが、世帯所得や資産状況に応じて 軽減できる制度があります。詳しくは市町村の役所にお問い合わせください。
土浦市 介護保険負担限度額認定申請について(外部リンク)
http://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/page007332.html
利用までの流れについて
ショートステイに入所するには、要介護1以上の介護認定が必要になります。ケアマネージャーがついている方は、ケアマネージャーにご相談ください。ケアマネージャーがついていない方や介護保険の申請をされていない方は近隣の居宅介護支援事業所やケアプランセンターにご相談下さい。その後、当院との契約を結び、入所日を決め、入所になります。事前の見学等も可能です。(図1 参照)
図1
お問い合わせ先
医療法人社団 三輪会 山手医院 (介護保険事業所番号: 0810311704)
〒300-0814 茨城県土浦市国分町 7-6
TEL 029-835-3388 FAX 029-835-3966