山手医院の日帰り旅行に参加して





   今年はバス旅行の参加を見送ろうと考えていた。理由は二つ。

   家族同伴では、家内が歩行困難で無理であること、もう一つは、去年の旅行で職員に大迷惑をかけたことが、そう決断させていた。

   ところが、同じ日にリハビリに来ていた平野さんから「折角だから行こうよ。気晴らしになるよ。」と言われて、(行きたい)という感情が

湧き上がり、他人には世話になりたくない)と言う気持ちを上回ってしまった。

   そこで、参加することになったが、この旅行では、いくつかの感動を味わった。

   それは、葛西臨海公園という海に臨んだ景色の素晴らしさや鮫や鮪の泳ぐ大水槽の壮観、そなんかずぐ、はじめて見る江戸博物館

の重厚な展示物に圧倒されるなど、その見学場所から受けた感動も多かった。が、それはさておき、私は、この病気になってからも、

(他人には世話になりたくない)という気持ちが何処かにあって、兄姉たちには(仕方ないことなんだから素直に甘えろ)と言われ、(全く

その通りだな)と思うのだが、一方でどうしてもそれを全面的に受け入れられないところがあって、極力人の世話にならないようにと心を

砕いている。

   今度も、守谷のサービスエリアでのトイレ休憩時に、(杖があれば、一人でも歩けるのだから)とトイレに向かい、用を足して帰ってきた

が、その間、終始誰かが後を付いてくる感じがしていた。それが、バスになる段になって介護士のTちゃんであることがわかった。ずっと、

私の歩行を見守ってくれていたらしい。(そんならむしろ車椅子で世話になった方が、彼にとっては気が楽でなっかたのか)と思わないで

もなかったのだ。

   更に、海浜公園では、水族館までの石畳の長い道のりを、しかも、あのあ30℃の炎天下の中を、いかにも屈強な介護士とはいえ、「


日影を通った方が涼しいから」と日陰を選びながら、凹凸している石畳で、大変な力仕事で、たぶん汗だくであるに違いない私の車椅子

を黙々と押してくれる。(たまの日曜、何の因果でこんな苦労をしなければならないのか)と私なら愚痴の一つも出そうなところである。彼

には、水族館を出てバスまでの路程でお世話になった。誠に感謝に絶えない気持ちを持った。

   こんなこともあった。水族館での昼食の後、トイレと立った私を見つけたリハビリの先生が自分の昼食を中断して「人ごみの中歩いて

いくのは危険だから」と車椅子を広げて、人ごみを避けながら身障者用トイレまで連れて行ってくれた。帰ってくるとまたトイレを待つ人で

あることを察知して、車椅子を押していく。(食べ残してある昼食はどうするのだろう)と気になって仕方なかった。

   昨年の旅行では、担当の参加者が決まっていて、主に一人の職員が私の車椅子を担当してくれた。しかし、今年は、多少違った様相

を呈していた。

   その日、疲れて早寝し、夜中に目覚め、寝れないままに今日一日のことを思い出していた。(今日は何人の人に世話になったことにな

るんだ)と記憶をたどってみると、前述の水族館の行きかえりや江戸博物館のKさんなどのように、長い時間と距離を担当してくれた人も

いて、それらは、頑強な職員だったから決まっていたのかも知れないが、それら長短はあるにせよ、私の車椅子を押してくれた人は、7人

いたことが、その顔とともに思い浮かんできた。そして、関心したことにそれがみな「無言の連携」で繋がっていたということである。

   こんなことがあった。水族館で、ある場所に集まっていたことがある。

   私の車椅子を押してくれていた人が、何かの用で席をはずしていた。ややあって場を移動する段になったら「さあ、行きましょう。私は、

皆さんと交流がなかったが」と言いながら、私の車椅子を押してくれる人がいた。病室担当の看護士らしい。その8人の職員の行動が、

誰に頼まれたものでもなく、しかも、何の滞りもなくうまくとれていたのである。職員間にそういう連携がとれる山手医院の姿は、深く私の

心を打った。

   山手医院の遠足行事は、今年で5回目だそうである。その歴史が、この姿を可能にさせているのであろうか。勿論、それもあろうが、

そればかりではない気がする。

   今年、新鮮に思ったのは、「テッちゃん」「カッちゃん」……と、男性、女性を問わず親しく呼び合っていたことである。この人間関係の親

しさが、あの素晴らしい連携組織を作っている、そう思うのである。

   帰りのバスの中で、係りのテッちゃんが、一日の旅程の締めくくる挨拶をしているときであった。後ろの方の席から「楽しかった、ありがとう」

と言う声が上がった。その言葉は、すべての参加者を代弁する気持ちであったのだろう、期せずして拍手が沸き起こった。

   山手でお世話になっている喜びを感じた一日であった。





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